介護業界は今、かつてない人手不足に直面している。厚生労働省によれば、今年6月の介護関連職の有効求人倍率は3.31倍(実数)。全職種平均も1.26倍(同)と高水準が続くが、これを大きく上回る。

求職者1人当たりに何件の求人があるかを示すものだが、介護関連職は2014年以降、毎月ほぼ2倍台で推移しており、昨年12月には3.6倍と過去最高値を記録。今年に入ってからも毎月3倍台が続き高止まりしている。

「介護施設の需要はあっても従業員が集まらずオープンできないケースが相次いでいる。規定の人員配置基準をクリアできず閉鎖に追い込まれた施設も出始めている」。介護業界関係者は実情を語る。

優秀な人材の確保が利用者の信頼獲得、ひいては収益に直結するだけに、大手各社は逆風下での採用強化と人材のつなぎ留めにしのぎを削っている。

 

SOMPOケアメッセージ/SOMPOケアネクスト

「離職率を下げるにはコミュニケーションと教育が不可欠」

■売上高…1108億円(2社合算、2016年度) 
■有料老人ホーム…299施設(2社合算)
■サービス付き高齢者向け住宅…132棟(2社合算)

SOMPOケアメッセージ/SOMPOケアネクスト 社長 遠藤健(撮影:ヒダキトモコ)

「離職率を下げるには、職場でのコミュニケーションと教育が欠かせない」。SOMPOケアメッセージ(旧メッセージ)とSOMPOケアネクスト(旧ワタミの介護)の遠藤健社長は力を込める。

両社を傘下に置くのが、損害保険大手のSOMPOホールディングスだ。同社は15年度に施設介護大手だったワタミの介護とメッセージを相次いで買収。一躍、業界大手の一角となった。

ただ買収後しばらくは、両社施設の入居率低迷が続いた。というのもこの大型買収の背景には、両社の度重なる不祥事があったためだ。ワタミは入居者の水死など複数の介護事故や親会社への「ブラック企業」批判、メッセージは転落死事件や職員による入居者虐待などでブランドイメージが大きく毀損されていた。

そこでまず注力したのが、従業員へのケアだ。買収直後の16年4月に、東京都港区に実際の施設と同様の居室や設備を再現した研修センターを設立した。