短期間で引っ越す前提なら、賃借のほうがお得になる(イラスト:熊野友紀子)

住宅は購入と賃借、どちらが得か。面倒なライフプランのシミュレーションも、最近では住宅相場の価格推定アプリや家計簿アプリで簡単にできるようになった。それらを賢く使って住居費を「見える化」してみると──。

住宅市場の最大の問題は不動産価格が不透明なことだ。購入価格は本当に適正なのか。いざ売るときにいくらで売れるのか。消費者にはまったく手掛かりがない。

自動車であれば、購入価格から3~5年後の下取り価格(残価)を差し引いて支払う残価設定ローンが20年以上前から提供されており、将来の売却価格に見当をつけられる。だが住宅を売却する場合、不動産業者によって査定価格はバラバラで、その査定価格で売れるかどうかの保証もない。

もし自動車のように、将来の売却価格を推定できれば、購入と賃借のどちらがお得かのシミュレーションも可能だろう。住宅ローンが残っている場合、売却金額で残債を完済できないという最悪の事態は少なくとも避けられる。

売却価格を推定するうえで手掛かりになるのは査定価格だ。国土交通省の外郭団体、不動産流通推進センターは「査定価格は単なる売り出し価格の目安」と言うが、価格設定のカギを握っているのは確か。同センターは業界標準となる既存住宅価格査定マニュアルを策定しており、そのWeb版システムを利用すると、戸建て、マンションとも築年数にほぼ比例して査定価格が下がっていく。経年劣化で建物の評価が下がる「減価償却」が組み込まれているからだ。