「新しいことに挑戦する、元気に満ちたソニーに戻ってきた」

6月の株主総会でソニー社長の平井一夫は、そう胸を張った。復活をアピールする背景には、好業績がある。2017年度は営業利益を5000億円台に乗せる見通しだ。これは出井伸之・元社長時代以来の20年ぶりとなる高水準。時価総額は5.6兆円を超え、パナソニックの約3.6兆円や日立製作所の約3.4兆円を引き離し、電機大手でトップを独走する。

「どんどん新規事業を進めてほしい」。3月の社内会議では、明るい表情で幹部らを鼓舞する平井の姿があった。12年4月の就任以降、かつてないほど元気を取り戻したのは平井本人なのかもしれない。

就任2年は低空飛行 ナンバー2交代で激変

(注)エレクトロニクス部門にはゲーム含む。2017年7月の時価総額は19日時点(出所)各種資料を基に本誌作成(撮影:今井康一)

ここまでの道のりは長かった。前CEOのハワード・ストリンガーから引き継いだ平井がまず手掛けたのが、自社ビルや保有株式などの売却だった。加えて、赤字が常態化していた本業のエレクトロニクス事業(AV、カメラ、スマートフォン、ゲーム、PC)でも、グループ全体で1万人を削減すると発表。が、ここで平井は新社長としてのアピールにつまずく。「経営方針説明会で1万人削減を発表するとき人差し指で1を作ってポーズを取り、社内外で軽率と受け取られた」(ソニー関係者)。

CBS・ソニー(現ソニー・ミュージックエンタテインメント)に入社し、ソニー・コンピュータ エンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)を経てソニー社長に上り詰めた“外様”の平井に対する風当たりは、ただでさえ強かった。平井を抜擢したストリンガーが取締役会議長にとどまったことで、「平井さんは遠慮して身動きが取りづらかった」(元社員)。業績も低空飛行を脱せず、「早々に社長交代か」とささやかれるほどだった。