みずほ証券 マーケットエコノミスト 木曽美由紀

身近なモノの中には、景気動向と連動して消費が増えたり減ったりする品目がある。消費者は、景気回復の期待が高まると財布のひもを緩め、高額品への支出を増やす傾向がある。みずほ証券の金融市場調査部では、こうした生活実感に基づいた景気指標を作る試みをしている。

かつては牛肉・豚肉が注目されることが多かった。景気が良ければ価格の高い牛肉の購入を増やし、悪くなれば価格の低い豚肉にシフトするとされ、実際に景気の動きとも連動していた。ただ、2000年代初頭にBSE(牛海綿状脳症)問題が広がると、家計の景況感と牛肉・豚肉の消費額の連動性は薄れた。

高いマグロ vs.安いアジ

そこで高級魚のマグロと大衆魚のアジに着目し、13年に考案したのが「まぐろ・あじ指数」だ。高いマグロを買うか、安いアジを買うかの判断が、消費者のマインドや景気に関係しているのではないか、との仮説に基づく。

これは総務省「家計調査(2人以上の世帯)」での、マグロの消費額(前年同期比)からアジの消費額(同)を引いて作ることができる。数値が大きくなれば家計の消費行動はマグロに傾き、小さくなればアジに傾いている。

内閣府の景気ウォッチャー調査に重ねると、まぐろ・あじ指数はやや先行している。リーマンショックからの回復局面である09年やアベノミクスが始まった12年など、まぐろ・あじ指数は先行して動いた。