加計問題の霧が晴れない。安倍晋三首相の友人が経営する加計学園の獣医学部開設をめぐって、「行政が歪められた」と断言した前川喜平・前文部科学事務次官が7月10日、衆参両院の委員会で参考人として証言。「規制改革のプロセスが不公平で不透明だ。初めから加計学園に決まるように進められた」と述べた。

政府は政策決定に問題はないと繰り返しているが、萩生田光一官房副長官や和泉洋人首相補佐官らが文科省に獣医学部の早期開設を迫ったという文科省側の文書に関しては、十分な説明がなされていない。世論調査でも多くの国民が「政府の説明は不十分」と答えている。安倍首相が国会の閉会中審査に出席して丁寧な説明を尽くすかどうかが焦点だが、今のところ実現の可能性は低い。この問題は秋の臨時国会に持ち越されるのが確実で、安倍政権にとっては重い足かせとなるだろう。

通常国会終了直後の記者会見で、安倍首相は「疑念があれば、丁寧に説明していく」と述べた。しかし、実際には衆参の予算委員会の閉会中審査には応じようとせず、野党側の臨時国会召集要求にも応えなかった。7月2日投票の東京都議会選挙で自民党が歴史的惨敗を喫して、自民党の竹下亘・国会対策委員長が「これだけぼろ負けしたら、何らかの形で国会を開かざるをえない」と判断。10日に衆参両院で内閣・文部科学委員会の合同審査が開催され、前川氏が参考人として出席した。

前川氏は獣医学部の新設について「内閣府、内閣官房の中でプロセスが進み、文科省から見えない部分がある」と証言した。「(政策決定の)背景に首相官邸の動きがあった」とも述べた。

文科省が首相官邸や内閣府から加計学園の獣医学部開設に向けた「圧力」を感じていたことは、これまでも文科省内の文書で明らかになっていたが、前川氏の証言が文書の内容を裏付けた形だ。