(イラスト:ソリマチアキラ)

宮里藍が引退した。トーナメントで戦うプロゴルファーにとって、引退という線引きはとても難しい。なぜなら、出場資格さえあれば試合で戦うことができる。宮里のように、自ら決意して記者会見をする引退は、日本では初めてのことだった。

宮里らしい会見だった。宮里の出現は、日本の女子ツアーを大きく変えた。高校生プロゴルファーとなったのも宮里が初めてだった。その後の活躍はいうまでもない。

引退は、何かに限界を感じて戦いの場から退くことなのだけれど、その胸中はとても複雑だと思う。かつて西鉄ライオンズ(現・埼玉西武ライオンズ)で鉄腕投手と呼ばれた稲尾和久さん(2007年没)に、引退するとき未練はなかったかと聞いたことがある。すると「未練タラタラでしたよ」と言った。「精神的には、まだまだやれる、むしろ充実していましたからね」と語った。

フィジカルとメンタルの隔たりが極端だったのだろう。メンタルではイメージが広がっているのに、フィジカルがついてこない。そのアローアンスが現実的に、いい結果にならない。極めた選手こそ、そのギャップが許せないし、大きな落胆に変わる。それがモチベーションを打ち消し、なえさせてしまうのだ。むしろ、本意ではなくても故障などの確たる事実があったほうがいいのかもしれない。

僕が目撃した引退は、アーノルド・パーマーとジャック・ニクラスだった。正式には、今回限りで全米オープン(やマスターズ)から引退するというシーンである。大観衆がスタンディングオベーションで迎え、その中でレジェンドの引退試合を見守る。