「怪獸大廈」の中庭から見上げた夜空。見た目のインパクトが重視される今どきの名所だ

「怪獸大廈」とはうまいこと名付けたものだ。香港島東部、太古にその集合住宅はあった。

この地区にある5棟の高層住宅は今、ネット上で怪獸大廈とまとめて呼びならわされている。1970年代前半に建てられ、老朽化が進んだ集合住宅の中庭に出て、夜空を見上げてみた。

三方には20階ほどの高層住宅のバルコニーが張り出し、残る一方にも超高層住宅がそびえる。狭い空には、地上の明かりに照らされた低い雲が流れている。

2013年、フランス人の写真家がこの住宅を写した芸術的な作品がブームの端緒となった。翌年には映画『トランスフォーマー/ロストエイジ』のロケ地として注目を集め、17年にはここを舞台に女優の満島ひかりが華麗に舞うPVも発表されている。

その特異な景観から、怪獸大廈は若者の聖地となった。今年6月の訪問時も男女3人がポーズをつけて撮影にいそしんでいた。もはや誰もが知っている有名観光地よりも、こうした奇観のほうが投稿のインパクトは強い。SNSを生活の中心に据える世代ならではの選択ともいえる。