去る5月の半ば、中国・北京で「一帯一路国際協力サミットフォーラム」が開かれた。世界130以上の国からの代表団、29カ国の首脳と合わせて、1500人以上が参加した国際会議である。一国が呼びかけた規模としては、「異例」とマスコミも表現したほどだった。中国はそれだけ、いわゆる「一帯一路」構想に自らの威信をかけているのである。

もちろんホストは、習近平国家主席。かれがこの構想をとなえたのが2013年。「一帯一路」とは文字どおりには、中央アジアを経て欧州までつながる「陸の帯」と、南シナ海からインド洋を越え、地中海を通る「海の路」とを合わせた成句である。双方でインフラを整備し、交易ルート構築をめざす遠大な計画だ。

その後、日米を除く多くの国が加わったアジアインフラ投資銀行(AIIB)を開設したし、今回の国際会議も盛会におわった。日本も今回さすがに無視できず、自民党の二階俊博幹事長が出席している。習近平の構想は、着実に歩を進めているようにみえる。

不透明な中身

評価はまちまちである。「一帯一路」沿線の国々はおよそ60、世界人口の6割を下らない。しかしGDPはおよそ3割だから、かなり貧しい地帯である。そうした国々と自国の双方に経済発展をもたらす、と中国側はくりかえし説明してきた。他方で、中国が経済的に搾取するのではないか、政治的にも影響力を高めるのではないか、という警戒の声も根強い。関係国も積極的に賛同しているのかどうか。ねらいや交渉、あるいはその進捗や効果について確たる情報に乏しく、不透明というほかはない。

もっとも、門外漢の歴史屋にいわせれば、そうした眼前のわからない情勢以前に、さらによく理解できない、疑問を払拭できないことがある。「一帯一路」構想じたいのとりあげかたである。

メディアはこの「一帯一路」を「現代版シルクロード」と形容する。「一帯一路」は中国主導の事業だから、そんな表現に見え隠れするのは、史上の「シルクロード」も中国が主体、あるいは中国に属していたとみなす通念である。