「中国の車は外国車のコピーばかり」──。かつてこのように揶揄された中国車が今、中国の街中で急速に存在感を高めている。外資のまねしかできないと侮られた時代は終わりつつある。

「民族系」と呼ばれる中国メーカーの独自ブランド車は乗用車市場で44%強のシェアを持つ。

昨年暮れ、日産自動車のカルロス・ゴーン社長(当時)は「民族系の競争力が上がり、2016年はほとんどの外資メーカーにとってシェアを伸ばすのが難しかった」と不満げに語った。

電装品を扱う日系大手部品メーカーの社長は言う。「当社の部品を使いたいという民族系からの依頼が最近増えた」。民族系は重要部品の調達先を地場メーカーから技術力のある日系や欧州系へ切り替えている。「かつては車を造るのがやっとで、部品調達は地場メーカーばかりだった。今は、より性能の高い車を造る段階にステップアップしている」(同社長)。

ホンダで中国本部長を務める水野泰秀執行役員も「民族系が品質やデザインを改善するスピードは格段に上がっている」と評する。

民族系が地力をつけている背景には、外資からの技術導入がある。中国で外資が自動車を生産するには中国の現地メーカーとの合弁企業を設立する必要がある。その合弁への外資からの出資比率は50%以下と定められている。たとえば、トヨタ自動車は第一汽車集団(グループ)と一汽トヨタ、独フォルクスワーゲンは上海汽車集団と上海VWといった具合に、外資各社は合弁を構えている。

外資系自動車メーカーは規制により中国企業と合弁を組む必要がある。その合弁への外資の出資比率は50%以下。中国・外資のそれぞれが複数の合弁を組み、その関係は複雑だ

中国で自動車産業が興ってから約30年。中国メーカーは合弁を通じて、独自ブランド車(合弁生産の車とは別に民族系が独立展開する車)への技術移転を進めた。