創業家の出光昭介氏(2016年9月撮影:共同通信)。現経営陣の“荒技”で苦しい立場に追い込まれた(撮影:今井康一)

昭和シェル石油との合併をめぐり創業家との対立が続く出光興産。経営陣が強行策に出た。

7月3日、同社は公募増資を発表。現在の発行済み株数の3割に相当する4800万株を新規発行、約1400億円の調達を見込む。

増資が成立すれば、出光昭介名誉会長など創業家の持ち株比率は33.9%から26%に低下し、合併に対する拒否権を失う。「創業家の議決権比率を希釈化する目的は明白」(創業家代理人の鶴間洋平弁護士)。創業家は翌日、東京地方裁判所に新株発行差し止めの仮処分を申し立てた。

創業家は従前から増資に対する懸念・反対を示してきた。経営陣は引き続き話し合いによる解決を目指すと言うが、今回の増資はその道を事実上閉ざすものだ。

増資発表のわずか4日前に開かれた株主総会。創業家は昨年に引き続き月岡隆社長など主要な取締役の選任に反対したが、月岡社長への賛成割合は昨年の52%から61%へと上昇。創業家の持ち分を除けば、反対は5%程度にとどまった。

創業家は他の株主へ書簡を送り賛同を募ったが、支持は広がらなかった。経営陣はこれで自信を深めたのかもしれない。道義的には禁じ手にも見える、総会直後の大型増資に打って出た。