カレーライスが好きだ。講演先に着くのがちょうど昼時分だと、主催者が「食事を用意しておきますが、お好みは?」と事前に聞いてくる。ためらわずに「カレーライス」と答える。どんなのが出て来るか、すっかり、うずうずしながら待つ。

昔読んだ本に、「カレーは香辛料を交ぜてルウを作るので、香辛料の種類が多ければ多いほどいい」と書いてあり、東京では大体15、16種類が普通で、最高はTホテルのレストランの32種類だとあった。しばらくそこへ食いに通った。

昭和通りのインド人が経営するレストランをはじめ、新宿、浅草などの名だたるカレー店を渡り歩いた。が、結局私の舌が納得したのは、身近なそば屋さんのカレーライスだ。そば屋にはカレー丼というのがあるが、あれは別物だ。

何でそば屋のカレーライスが舌に合うのかはよくわからない。気取らずに済む庶民的環境のせいだろうか。そうだとすれば、これは味とは無関係だから、評価法を改める必要がある。

でも、そうではない気もする。仕事場の近所のそば屋さんでは、ラーメンやチャーシュー麺も出す。結構うまい。チャーシューも店の親爺さんが自分で作る。そのためか900円のチャーシュー麺に分厚いチャーシューが6枚入っている。食べきれず必ず2枚は残す。「残してゴメン。帰りにどんぶりを洗っていくから許して」と謝る。和のそば屋で中華麺をこなす技法でカレーライスも作るから、カレーがうまくても何らおかしくない、という理屈を言わんがために書いているので、当たっていないかもしれない。