日銀の出口戦略(大規模な金融緩和政策を終了すること)に対する関心が高まっている。

4月19日、自民党行政改革推進本部(本部長・河野太郎衆議院議員)は、日銀の出口戦略のリスクを検討するよう政府に提言した。金融政策を担う世界の中央銀行は、出口に向けて着々と動いている。FRB(米国連邦準備制度理事会)は6月14日、新たな出口戦略の方針を示した。緩和策で取得した債券の償還分の再投資を減らし、FRBの総資産を縮小させようというのだ。早ければ年内にも縮小に着手する。ECB(欧州中央銀行)も6月8日の理事会で政策金利のガイダンスを従来の利下げバイアスから中立に変更し、出口戦略に向けて布石を打った。

しかし日本では、日銀が掲げる2%の「物価安定の目標」達成に程遠い。6月16日の黒田東彦日銀総裁会見でも「今の時点で具体的に出口の手法とか順序を示すのはなかなか難しい」と出口戦略を語ることに消極的だった。

だが、日銀による巨額の国債買い入れ開始から4年以上が経過。日銀の総資産は5月末時点で500兆円を突破している。対名目GDP(国内総生産)比では90%を超え(図表1)、FRBやECBを大きく凌駕する。総資産の巨大化が止まらないと、出口の潜在的なコストは大きくなる。そのため、日銀の収支赤字化や債務超過を懸念する声が上がっている。

[図表1]
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植田和男・元日銀審議委員は2003年10月の講演(「自己資本と中央銀行」)で、中央銀行の財務が脆弱な状況が長期化すると、1.政府や財政当局からのさまざまな介入が発生する可能性がある、2.通貨発行益に頼って損失を解消しようとするインセンティブが中央銀行に働き、インフレ率の上振れにつながる、という二つのリスクを指摘している。

では、出口における日銀の財務はどうなるのか。