AIと聞いて、何を思い浮かべるだろうか。iPhoneの音声アシスタント・Siri(シリ)? 史上初めて名人棋士に勝利した将棋AI・ポナンザ(下写真)? 映画『2001年宇宙の旅』のHAL9000? どれもAIだが機能や用途に違いがある。

将棋AIのポナンザは名人を打ち負かした

(注)本稿を監修したHEROZはAIベンチャー。将棋AI・ポナンザを開発した

私たちがAIと呼ぶ対象には、さまざまな概念や技術が入り交じっている。基本理解のスタートとして、まずAIと呼ばれているものの仕分けから始めよう。

「基本1」の図に示したように、AIと呼ばれるものには、複数の概念が包含されている。最も外側の包括的な概念がAI、それより少し狭いのが機械学習、最も狭いのがディープラーニング、といった具合だ。ほかにもAIの概念はいくつもあり、正確には大小で指し示す概念はもう少し複雑な構造になっている。だが入門者は、この図を大まかに覚えておけばまずは事足りる。

脳を模して発展した

AIという言葉が歴史に初めて登場したのは1956年。米ダートマス大学にコンピュータ科学者が集まり、「人間が抱える問題を解き、自身を改善していける機械」を議論した、いわゆるダートマス会議でのことだ。このまだ見ぬ機械の名がアーティフィシャル・インテリジェンス=AIだった。

当時は商用コンピュータの黎明期だった。52年に米IBMが大型汎用コンピュータ(メインフレーム)・IBM701を発売。米ハネウェルや米ゼネラル・エレクトリックといった企業も、50年代に競い合って販売していた。

能力は限定的であるが、この機械が将来社会を大きく変えるという予感を、多くの人が感じていた。その漠然とした予感が凝縮されたのがAIという言葉だ。だからこの言葉の定義は、もともと非常にあいまいだ。今の研究者にはAIではなく、より具体的な「機械学習」という言葉を使うのがふさわしいと考える人が少なくない。