年間150万件の入電がある三井住友海上のコールセンター(撮影:今井康一)

「電話がつながりにくいとお客様からの苦情が増え、それがオペレーターの働く意欲を下げる。負の連鎖が起きていた」。三井住友海上火災保険でコールセンターの運営を担当する岩前孝佳氏(コンタクトセンター企画部課長)は数年前を振り返る。負の連鎖を断ち切ったのがAIだった。

IBMのAI「ワトソン」をコールセンターに導入したのは2014年7月。文字情報で保存している過去3年分の対応履歴データで学習させた。ワトソンはこの学習を基に、顧客の会話で急激に頻出し始めた単語をある種の異常値として知らせてくれる。その単語に関する内容をホームページ上のFAQ(よくある質問とその回答)で拡充すれば、自ら疑問を解決する顧客が増え、不要な問い合わせを抑制できる。

入電予測システムも一緒に導入したことで、80%台後半だった応答率は10ポイント近く上昇。13年度には約500件近くあった苦情も、入電数全体が増える中で16年度には72件にまで激減した。顧客対応の品質を向上させることになったワトソンの導入費用は3000万円程度だったという。「要件定義は緩くし、なるべく独力で作業を行った」(岩前氏)結果だという。