(イラスト:ソリマチアキラ)

6月に宮里藍プロが突然引退を表明して、驚きとともに31歳という若さでの引退を惜しむ声があちこちから上がりました。引退理由は「モチベーションの維持が難しい」とのこと。私も事前に連絡を受けたときにはとても驚きましたが、考え抜いたうえでの決断に同調しました。

宮里プロは18歳でプロデビューしてから、つねに日米ツアーのトップで活躍し、大きな期待に応えて実績を積み重ねてきた人です。スポンサーやゴルフファンからの優勝の期待をつねに背負い、相当なプレッシャーとともに歩み、それを克服しながらのプロ人生13年間だったと思います。その重圧に耐えられた、というよりはねのけて結果を出してきたのは、何より自分の最大の目標である米ツアーのメジャー制覇に向けて、その途中の階段を一つひとつ上がっていく前向きな気持ちのほうが重圧より勝っていたからに違いありません。

世界ランキング1位になったときが、最もメジャー優勝に近づいたときでしょう。しかしメジャーでは思うような上位争いができず、得意なパッティングが不調となり、成績に影響が出るようになったと感じます。今までゴルフを最優先にやってきて、公私ともに自己コントロールをつねにしてきたはずです。先が見える状態であれば、今が不調でも努力を続けられますが、ここ5年間は暗中模索状態。努力すれども結果が出ず、相当な葛藤と迷いの中で過ごしてきたのだと思います。

これまでも現役引退を表明した選手は数人います。私の記憶では最初は大迫たつ子プロ。股関節脱臼がひどくてプレーができなくなり、やはりご自分のスポンサーである大会で引退セレモニーをされました。今から二十数年前のことです。

当時は、プロゴルファーが引退を表明するという感覚がない時代でした。成績が芳しくなければ自然淘汰される世界ですから、世間に向かって表明するのはまれで、黙ってフェードアウトするのが現在でも一般的です。しかし、大迫プロは45勝を誇る永久シード選手でしたので、いつでもツアーに出場できる権利がありました。したがって、自分を応援してくれるファンやスポンサーに対して、キチンとケジメをつけるという意味で引退を表明されたのだと推察します。