血管に細い管を通すカテーテル治療分野に強みを持つ、医療機器大手のテルモ。

収益を牽引してきた主力の心臓血管事業の売り上げ比率は2016年度に5割まで上昇し、海外比率も同じく6割超に拡大した。昨年は3件のM&Aを実行し、今期は過去最高の売上高と営業利益を見込む。4月に就任した佐藤慎次郎社長に今後の戦略を聞いた。

さとう・しんじろう●1984年現JXTGホールディングス、99年現PwCJapanグループ、2004年テルモ入社。11年心臓血管カンパニープレジデント。17年4月から現職。(撮影:今井康一)

──心臓血管事業の売上高をさらに高める構えだ。

外科手術の代わりに血管を伝って治療をする手法はこれまで心臓が中心だったが、ニューロ(脳)や末梢(足)で成長過程にある。こうした方法が普及しつつある新興国も多い。当社はこれまで(治療器具を患部に届ける)アクセス製品を中心に発展してきた。治療領域に参入したのは7〜8年前。まだ伸ばす余地はある。

──欧米では再編の流れがある。

米国企業は国内市場が成熟していく中、成長性や収益性の鈍化を打開すべく、買収を進めている。医療費抑制の動きに対抗していくには、幅広い品ぞろえを持ち、規模の大きな会社が強い面もある。

一方で最大市場である米国でテルモのプレゼンスはまだ低く、追う者の強みがある。競合は水平的に治療器具の品ぞろえを展開しているが、われわれは特定の分野に絞り、アクセス製品から先端治療器具までそろえて差別化を図る。

──昨年は3件の買収を決めた。

最も大きいのは世界最大シェアの止血機器事業だ。これまで手掛けていなかった製品で、買収によってアクセス製品で圧倒的ナンバーワンの地位を確立できた。

もうひとつは脳動脈瘤治療用の塞栓器具を展開する会社だ。今後、米国でニューロを強化するうえで意義があると思う。ほかにも胸部の治療に強みを持つベンチャーを手に入れた。胸部の治療に関しては開発競争が進んでおり、伸びしろがある。