韓国で9年ぶりの革新系政権が5月10日に発足して、一カ月を超えた。この間、北朝鮮はたてつづけにミサイルを発射し、米国の空母も2隻、日本海に展開するという異例ずくめの情勢である。空母が去っても、朝鮮半島をめぐる緊張は、緩和しそうにもない。

そのようななか、文在寅(ムンジエイン)大統領は就任してまもなく、各国に特使を派遣した。交代した政権の方針を説明し、ギクシャクしかねない相互関係を調整、確認するためである。いわゆる特使外交であり、日本にも韓国与党「共に民主党」の文喜相(ムンヒサン)国会議員が来訪した。

文特使は5月18日に安倍晋三首相と会談、大統領の親書を手渡している。日本人の誰もが注目したのは、この特使、あるいは韓国政府政権がまたぞろ慰安婦問題を蒸し返すかどうか、であった。双方とも歯切れの悪いコメントだったのは、まだ記憶に新しい。

中国への特使

それはもちろん、日韓関係の事情によるものである。同じく特使外交であっても、ほかの国々はそれぞれに目的・成果が異なっていた。なかんずく注目に値するのは、中国であろう。

中韓関係は近年で、およそ最悪である。朴槿恵(パククネ)前政権が米国の意向を受けて、THAAD(地上配備型ミサイル防衛システム)の配備にふみきったことを契機として、これを嫌う中国側が官民こぞって多大な圧力を加えた。中国への経済的な依存度の高い韓国は、大きな打撃を被っている。