みずまち・ゆういちろう●1967年生まれ。90年東大法学部卒、10年より現職。専門は労働法。「働き方改革実現会議」議員も務めた。(撮影:梅谷秀司)

これまでの労働政策は厚生労働省を中心に、労使のコンセンサスを重視して決定されてきたが、必ずしも急速な社会の変化に沿うような改革は行われてこなかった。そこに安倍晋三首相が危機感を抱いて立ち上げたのが、今回の働き方改革実現会議だ。労使のトップと官邸とで直接コンセンサスを作ることで、残業時間の上限規制と同一労働同一賃金という、大きな成果を上げることができた。

私も実現会議に参加したが、安倍首相と官邸で話をしたときや、会議の場での発言などで感じたのは、働き方改革に対する首相の強い関心とリーダーシップだ。それは働き方が社会的公正さの観点に加え、経済政策として成長と分配の好循環を実現するためにも重要だと認識されているからだろう。

その中でも首相が当初から強い関心を持っていたのが同一労働同一賃金だ。このテーマで官邸のスタッフと最初に話をしたのは2015年1月とだいぶ前になる。非正規労働者の賃金が安いと、企業は景気が良くなってもコストの安い非正規労働者を増やし、全体としての賃上げにつながらない。賃上げで消費が拡大し、企業の収益向上につながる好循環にならないので、最低賃金の引き上げと併せ、正規、非正規の格差是正を強く意識しているのだと感じた。

残業規制は生産性向上にも必要