労基署(労働基準監督署)リスクや政府の働き方改革のプレッシャーと、残業を避けられない現場との板挟みに悩む企業の人事部長たちが本音を吐露した。

──現在の課題は何ですか。

Aさん(ITベンチャー)「労基署からいかに逃げるか」(笑)。大手がどんどん摘発される中で、いかに火種が来ないようにするかが中小企業の重大事。働き方改革が大事なことはわかっているが、ノウハウもないし、社内の課題の優先順位としては低くしたいのが本音。数百人までの企業なら全社員の声が聞けるので、個人的な話まで知ってしまって、かえって調整が難しくなっている。

──残業については。

Aさん できる人に仕事が集まってしまう。中心選手になるし、大手のように縦割りではないので横の仕事も来てしまう。いちばん優秀なメンバーに仕事が集中し、代わりもいないので動きが取れない。経営サイドから見るとなくてはならない人なので、評価を上げて(ほかの社員との)バランスが崩れてしまうのが中小ではよくある話。

Bさん(メーカー)大手も同様だ。社員の評価は目標に対する達成度で行うから、似たような給料のレンジでも、業務量の多い人とそうでない人が出てしまう。やはり優秀な人間にたくさん業務が集まってしまう。

Cさん(小売り)小売りの場合、店舗はバイトなど非正規も含めシフトを工夫すれば対応できる。ただ残業を減らすためには、開業時間の短縮も視野に入れる必要がある。ショッピングモール内に出店している場合、モールの開店・閉店時間に合わせなければならないので大変だ。夜10〜11時まで店を開けていれば、閉店後の片付けが終わると11〜12時になってしまう。ヤマト運輸の値上げのように、どこかが時間短縮を言いださないとダメかもしれない。