親EU(欧州連合)派のエマニュエル・マクロン氏が仏大統領選挙に勝利して以降、ユーロ高が進んでいる。6月6日には1ユーロ=1.127ドルと、対ドルで昨年10月以来の高値に。5月29日には対円でも1年ぶりの高値をつけた。

政治リスクが一息ついたことに加え、堅調な経済や金融政策の正常化期待がユーロ高を支える(図表1)。「よい話のなかった欧州だが、気づいてみれば、過去5年連続のプラス成長(年率平均2%)。足元も需要項目が全般によい」と第一生命経済研究所の田中理・主席エコノミストは語る。

[図表1]
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ユーロ圏の今年1~3月期GDP(域内総生産)は前期比年率2.3%増と、日米の水準(1%程度)を上回る。消費や設備投資が底堅く、財政緊縮が和らぎ、公的支出もプラス推移だ。

消費者物価指数は力強さに欠けるが、足元では原油価格持ち直しで前年同月比1%台まで回復。エネルギー・食料を除くコア消費者物価は1%程度だ(図表2)。「消費者物価が安定的に2%弱」というECB(欧州中央銀行)の物価目標達成が徐々に意識されつつある。

[図表2]
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こうした中で、ECBが量的緩和の縮小に向かうとの観測が高まっている。6月8日の金融政策理事会では、マイナス金利政策や量的緩和政策の継続を決めたが、フォワードガイダンスから初めて追加利下げの可能性を削除した。ユーロ圏がデフレに陥る懸念がなくなったため、としている。