競合サイトと同等レベルの価格、品ぞろえを──。そんな条件を含む取引契約を出品事業者と結んできたアマゾン ジャパンが、公正取引委員会の審査を受け、今年6月から同契約条項を撤廃した。独占禁止法違反の疑いが解消されたため審査は終了となるが、「(公取として)違法性がなかったとは言っていない。まだ確認事項は残っている」(事務総局審査局第四審査上席の栗谷康正氏)。アマゾンとしては気の抜けない状況が続いている。

今回の件が起きた背景には、多様な販売事業者が参加する「マーケットプレイス」においてアマゾンの存在感が増しているという事情がある。アマゾンは2002年から日本でマーケットプレイスを開始。「最近は圧倒的な集客力を持ち始めている」(Hameeの豊田佳生・WEBマーケティング部マネージャー)。

強みは楽天やヤフーと比べ、断トツに手厚い物流面のサポートにある。08年に開始した「フルフィルメント by Amazon(FBA)」は一定の手数料で商品の配送から在庫管理、一次的な顧客問い合わせ対応までを代行。直近ではプライム(お急ぎ便)対象商品の範囲を拡大している。ただ面倒見がいい分、出品者に対する統制は強い。公取の審査が入った価格・品ぞろえ保証を含め、「基本、契約条項はガチガチに固まっており個別交渉の余地はない」と、ある出品者はぼやく。

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(出所)各社の資料を基に本誌作成

悪徳業者の横行も出品者の悩みの種だ。昨年末からは1円(または格安)で商品を出品し購入者の個人情報を収集する詐欺が急激に広がった。アマゾン側は「決して詐欺を容認しない。不正事業者に対し迅速に措置を講じている」(ジャスパー・チャン社長)というが、こうした事態で消費者だけでなく、出品者も痛手を被っている。