内閣府の総合科学技術・イノベーション会議議員として政策立案に携わり、イノベーション促進産学官対話会議が昨年11月にとりまとめた「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」の作成にも参画した上山隆大氏に、産学連携の現状と今後のあり方について聞いた。

総合科学技術・イノベーション会議議員 上山隆大
うえやま・たかひろ●1958年生まれ。大阪大学大学院で経済学を専攻、スタンフォード大学で博士。元政策研究大学院大学副学長。2016年4月より現職。(撮影:梅谷秀司)

──日本の大学では産学連携の拡大が課題となっています。欧米と比べて立ち遅れているのでしょうか。

米国でも1980年くらいまでは産学連携に熱心ではなかった。大学は公共的な知を創造する場で、産業界にコミットするのは本来の役割を逸脱するという考えが強かった。それが80年代に入って大学の社会的役割を見直す動きが起こった。製造業の分野で日本やドイツとの競争に負ける中、画期的なアイデアに基づく新たな産業構造をつくる必要性が生じた。そこで、新たな知を生み出す場こそが大学であり、その知をいち早く企業に移転すべきだとし、産学連携の重要性があらためて認識されるようになった。それに対応して大学も質的な変化を遂げた。

一方、日本の大学、特に国立大学は国からの運営費交付金に守られ、自然科学系のほとんどの研究が公的資金によって賄われる状態が続いた。国の政策においても、大学の社会的役割を見直すための本格的な議論がなされなかった。これでは産学連携を推進するインセンティブが働かない。風向きが変わったのは2004年の国立大学法人化からで、米国からは約30年遅れた。

──「ガイドライン」では企業と「組織対組織」の関係を構築することが必要とされています。