二つの政権交代: 政策は変わったのか
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たけなか・はるかた●政策研究大学院大学教授。米スタンフォード大学博士課程修了、Ph.D.(政治学)を取得。スタンフォード大学客員研究員などを経る。専門は日本政治論、比較政治学。著書に『参議院とは何か──1947〜2010』『首相支配──日本政治の変貌』など。

民主党政権で方向性が変わり安倍政権が継承

評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

安倍晋三首相は折に触れ、民主党政権との政策の違いを訴える。だが、違いは本当に大きいのか。本書は、農業、電力システム、コーポレート・ガバナンス、子育て支援、消費税増税、外交、防衛、憲法解釈の八つの分野について、2009年の政権交代前の自公政権、09〜12年の民主党政権、12年以降の自公・安倍現政権の三つの時期の変化を分析したものだ。結論は意外で、民主党政権で多くの政策の方向性が変わり、安倍現政権はそれを継承したと論じる。

電力は、脱原発、原発復活と政権ごとに異なって見えるが、電力自由化という点で、民主党政権で大きく舵が切られ、安倍現政権も自由化路線を踏襲した。安倍政権で変わったと本書が結論する憲法解釈も、民主党政権は法令解釈を政治主導で行うべく、内閣法制局の役割を低下させようとした。安倍現政権で独立性は失われたが、方向性は民主党時代に変わっていたのだ。

興味深いのは、民主党政権、安倍現政権ともに、政策決定過程で集権化が進んだことだ。官邸や首相周辺の政治家の力が増大し、政府の外にいる与党議員や利益集団の影響力は著しく低下した。民主党政権の内紛も、政策決定に関与できない与党議員の不満が募ったためだった。