『キリスト教は役に立つか』を書いた来住英俊氏に聞く 幸福の最大の要素は何か

✎ 1〜 ✎ 117 ✎ 118 ✎ 119 ✎ 最新
拡大
縮小

信仰とは無縁だった企業人がカトリック司祭に転身。「共に生きる」という幸福論とは。

キリスト教は役に立つか (新潮選書)
キリスト教は役に立つか (新潮選書)(新潮社/237ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

幸福の最大の要素は関係性の深まりにある

──結婚を勧めていますね。

結婚生活については、特にイエス・キリストと人間とが共に歩んだ歴史の中で、カトリック教会が積み重ねてきた知恵がある。人が人と共に生きる形の最も典型的に凝縮されたものは夫婦であるとカトリック教会は認める。

日本の社会で結婚は大いに話題になる。「婚活」などもある。だが、そのほとんどは幸福ではなくてサバイバルの問題。社会の中で不安になり、いちばん底辺まで沈没せずに何とか生きていくために結婚しなければならないといった、脅かしのような形でいわれる。

結婚しないと大変なことになる。その一方で、結婚すると大変とも。両面からの脅かしを若い人は聞かされている。これは不幸なことだ。目指すは人間の幸福であり、その根本にあるものは経済的な豊かさではない。幸福のいちばん深い要素は、縁あって出会った人が腹を決めてその関係を一生にわたって少しずつ深めていく。能動的に深めていくことの中にある喜びこそ、人間の幸福の中で最も取り去られないものだ。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内