2月上旬、私が教える予備校に出向いたときのことである。数人の講師が集まり何やら難しい顔をして話し込んでいた。「医学部入試の難度が急上昇していることに、どう対処すべきか」と議論していたという。私も同じ認識を抱いていた。教え子からの聞き取りで、医学部入試の難度が急上昇している情報を得ていたからだ。

特に英語、数学の難度が高まっていて、過去問を演習したのに、大学によっては傾向も難度も大きく変貌し、歯が立たなかったと嘆く教え子もいた。いったい、医学部入試の現場で何が起きているのか。

私なりの現状分析から考えられるのは、受験者数の急激な膨張が、入試問題の量と質に影響を与えている可能性だ。昨今は地方の医科大学が東京、大阪に入試会場を設け、受験の機会を広げている。また、3500人前後の受験者を集める私立大学も増え、合格者の選別が難しくなっている。

3500人の中から300~500人を1次選抜するにも、合否のラインを引く際に点数が団子状態では線引きが難しい。そこで明瞭に合否ラインが引けるように、問題の難度を上昇させているのだ。

私立大医学部の入試では数十倍の倍率はザラだ(撮影:梅谷秀司)

英語

英語の入試問題で顕著な傾向は、医療の国際化の影響である。医学に関する大量の英文を何本も読ませたり、長文中にいくつもの空所があり、その空所に適当な英文を挿入させたり、というたぐいの出題が増えている。難度の高い英会話や自由英作文も増加傾向だ。

私は例年、新たに教える生徒に今年の入試問題からめぼしいものを数問ピックアップして出題し、その正答率から学力の状況を探ることにしている。今年は東京慈恵会医科大学の問題を一部改題し、左の質問を試みた。このやり取りにおけるA君(偏差値60程度)のケースを紹介しよう。