なかむろ・まきこ●1998年慶大卒。米コロンビア大学でPh.D.取得。日本銀行や世界銀行などを経て2013年から現職。専攻は教育経済学。著書に『「学力」の経済学』、共著に『「原因と結果」の経済学』。(撮影:尾形文繁)

「スマートフォンを使うと子どもの学力が低下する」 

そんな言説を最近、耳にしたことはないですか。鵜呑みにしてしまいそうですが、実はこれは、因果関係が実証できていない主張です。

経済学者は、二つの事柄の関係について、それが因果関係なのか、相関関係なのかを厳密に区別します。因果関係とは、二つが原因と結果の関係にあることで、相関関係とは、二つの事柄に似た傾向があるものの、原因と結果ではない関係を意味します。

「スマホを使うと学力下がる」は本当?

スマホの使用と学力低下との間に因果関係があるならば、スマホ使用をやめさせれば学力は上がるでしょう。因果関係にあるということは、原因となることを取り除けば結果が変わることを意味しますから。

けれど、ただの相関ならば、いくらやっても学力は上がりません。にもかかわらず親は子どもにスマホをやめるよう説得するため、かなりの労力を投じ続けることになります。つまり時間とおカネの浪費です。因果と相関との区別は、限りあるリソースを無駄遣いしないためにも、重要なことなのです。