【今週の眼】早川英男 富士通総研エグゼクティブ・フェロー
はやかわ・ひでお●1954年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒。米プリンストン大学経済学大学院にて修士号取得。77年日本銀行に入行後、長年にわたって主に経済調査に携わる。調査統計局長、名古屋支店長、理事などを歴任し、2013年4月から現職。著書に『金融政策の「誤解」』。(撮影:梅谷秀司)

小泉進次郎氏らが提唱した「こども保険」創設案が関心を集めている。高齢者保護に偏った日本の社会保障制度を、子育て世代にも目を向けたバランスの取れたものに変えていくアイデア自体には大賛成だ。だが、もう子育てする可能性のない世代も負担する仕組みを保険と呼ぶのは、どう考えても無理がある。

しかし考えてみれば、年金にしても医療にしても、日本の社会保障全体がもはや保険とはとらえにくくなっている。実際、年金制度は実質的に賦課方式となっており、多くの若者は「自分たちは年金をもらえない」と思っている。彼らは、毎月の給料から差し引かれる年金保険料を「税金」と理解しているだろう。

医療保険も同じだ。赤字の健康保険組合が多く、保険料引き上げが相次いでいる。それは組合員の医療費が増加しているためではなく、高齢者医療のための拠出金が増えているからである。