早稲田大学大学院 経営管理研究科 准教授入山章栄
いりやま・あきえ●1972年生まれ。98年慶応義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了。2008年米ピッツバーグ大学経営大学院博士号取得。米ニューヨーク州立大学バッファロー校助教授を経て、13年から現職。(撮影:田所千代美)

世界市場が成長する中で日本の半導体企業が衰退しているのは、市場の質的変化に対応できていないからだ。大胆なイノベーションを起こし変化に適応するのが苦手なのは多くの日本企業の問題であり、自動車のようなほかの産業でも半導体と同じ衰退が起こりうる。

では何が企業にイノベーションをもたらすのか。これについて世界の経営学者の多くが研究しているのは、「両利きの経営」だ。

シュンペーターが新結合という言葉で説明したように、イノベーションは知と知の掛け合わせで生まれる。だから企業はつねに新しい情報を求める「知の探索」をしなければならない。同時に企業は、獲得した知を掘り下げ、収益の源泉として改良する必要がある。こちらは「知の深化」だ。両利きの人のように、知の探索と深化を器用に両立できる企業が、収益の伴った継続的なイノベーションを起こせるのだ。