テリーザ・メイ英首相は慎重で抑制の利いた政治家として知られる。何せ英国国教会司祭の娘だ。リスクを冒してまで安全地帯から踏み出すような人間ではない。だからこそ、総選挙を2020年の予定から前倒しする考えはないと彼女が繰り返し語ったとき、そこには真実味があった。

そのメイ首相が6月8日に総選挙を行うと表明したことは、驚きをもって迎えられた。だが、首相の方針転換は、多くの人が考えているほどショッキングな出来事ではない。むしろ論理的な行動だ。なにしろ世論調査の支持率で、メイ首相率いる与党保守党は野党労働党に20ポイントもの差をつけているのだ。

政治家は最も勝算があるタイミングで選挙に打って出るものだ。メイ首相はEU(欧州連合)とタフな交渉を今まさに始めようとしているところで、選挙での圧勝が予想されている。