政治 

当たり外れがなくポピュリストでもない普通の大統領

神戸大学大学院 教授 木村 幹
きむら・かん●1966年生まれ。京都大学大学院修士課程修了、博士。比較政治学、朝鮮半島地域研究が専門。『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』『韓国現代史』など著書多数。(撮影:今井康一)

──文在寅(ムンジェイン)候補が当選しました。

率直に言えば、進歩(革新)と保守という二つの壁を破る候補がいなかった。韓国では中道がない。安哲秀(アンチョルス)候補がその役割を担うかと思ったができなかった。

──文大統領をどう見ますか。

「準備された大統領」と彼自身がアピールしていたように、当たり外れがない大統領。たとえ外れても、その外れ度合いに予想がつく人だ。ライバルとなった安候補と比較すると、文大統領のほうが、主張がわかりやすかった。

──公約は、経済や社会問題など国内問題がほとんどでした。

進歩も保守も、公約には大きな違いがない。外交でもそう。かつては進歩と保守で違いがあり、その違いこそ有権者へのメッセージとなっていた。

──1987年の民主化以降、直接選挙は6回目。今回の選挙をどう位置づけますか。

新大統領は弁護士出身でベテラン政治家。韓国ではいまだにエスタブリッシュメントへの信頼があることがわかった。そのことと同時に、有権者へ感動を与え、古い政策を打ち壊す新たなスターがいない、ということも示した。