会見に臨む出光興産の月岡隆社長(中央右)と昭和シェル石油の亀岡剛社長(同左)(撮影:梅谷秀司)

統合を見据えた両社の必死のアピールは、創業家に届くだろうか。

5月9日、出光興産と昭和シェル石油は協業開始を発表した。共同調達、製品の相互供給など7分野で業務提携を進め、3年内に250億円以上のシナジー効果を出すとブチ上げた。会見後、両社は役員と幹部社員を集めた会合を開催。出光の月岡隆、昭シェルの亀岡剛の両社長が協業の重要性を訴える場面を報道陣に公開するほどだった。

両社は2015年7月に経営統合を発表したが、出光昭介名誉会長など出光の創業家が強く反対。昨年12月には公正取引委員会の合併承認が下り、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから昭シェル株31%の買い取りも実現した。しかし議決権の33.9%と拒否権を握る創業家の姿勢は変わらず、合併実現の芽はない。

追い詰められた経営陣

来月末には出光の定時株主総会が迫る。経営陣はそこで、経営統合や昭シェルへの出資が意味のあるものであることを、株主に説明しなくてはならない。今回このタイミングで協業を発表したのは、そのための実績作りの側面がある。

「石油の内需は30年末にはさらに2〜3割減ると想定される」と昭シェルの渡辺宏常務執行役員は言う。4月にはシェア50%を握る巨人JXTGホールディングス(JXと東燃ゼネラル石油が統合)が誕生し、1000億円の統合効果を目指し動き出した。

こうした中、合併ができないからと手をこまぬくわけにはいかない。両社に募る焦りに似た危機感も、協業開始へ突き動かす力になったことは間違いない。