2年前の夏、訪日観光客の需要に沸いた時計業界。だが、ブームは去り、売上高は以前の水準に落ち着いた。日本メーカーは成長に向け、スイス時計の牙城だった高級品に攻勢をかけている。シチズン時計も2016年にスイスのフレデリック・コンスタント(FC)社を買収し、米国で拡販を目指す。戸倉敏夫社長に今後のブランド戦略を聞いた。

とくら・としお●1949年生まれ。73年シチズン商事(現シチズン時計)入社。イタリア現地法人会長、シチズン時計取締役などを経て、2012年4月から現職。(撮影:今 祥雄)

──訪日客の爆買い需要が落ち込んでいる。

訪日客の需要は15年の夏ごろがピークで、当時は国内販売の3割強を占めていた。が、今でも約2割が訪日客の需要だ。政府の戦略もあり、訪日客はまだ増えていくので需要を取り込む。

──国内需要は回復しているか?

内需は緩やかな回復基調にある。「マルチブランド戦略」(M&Aで数十万円超の高価格帯ブランドを拡充し、シチズンは数万円の中価格帯で展開する)を具現化したのが、4月にオープンしたギンザシックスの店舗だ。幅広い価格帯をそろえ、ブランドを発信する場にしたい。空港の免税店とは異なるものだ。