【今週の眼】太田聰一 慶応義塾大学経済学部教授
おおた・そういち●1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

子どもの「将来なりたい職業」にユーチューバー(動画投稿サイトのユーチューブに投稿して収入を得る人)が挙がっていることが最近話題になっている。ある調査では、ユーチューバーが男子中学生で3位に入っており、子どもにとってのあこがれの職業が以前とは変わってきていることを感じさせる。こうした調査はあくまで希望を尋ねているにすぎず、実際の職業選択に大きな影響を与えないのかもしれないが、筆者はむしろ、職業というものに対する人々の認識が、この世代の子どもが社会に出る頃にはかなり変わるだろうと感じている。

ユーチューバーが所得を得るのは、本人の投稿した動画に視聴者が対価を払うのではなく、広告提供者が総再生数に応じた報酬を支払うことによる。そのため、高い所得を得るために最も重要な要素は、その動画の人気であり、その他の要素はほとんど関係ない。また、他者との契約関係もないに等しい。その意味で、これまで登場してきたさまざまなフリーランスの仕事に比べても、さらに自由度が高い仕事だ。

一方で、こと社会全体ではユーチューバーを職業として認識している程度は高くない。ユーチューバーは報酬を得て仕事をしているので間違いなく一つの職業だが、通常の職業分類にぴったり当てはまるものがない。アフィリエイトで収入を得ているブロガーも、職業としての認知度は低いようだ。