吠えるが、かみつかない──。ドナルド・トランプ米大統領のこれまでの通商政策を犬にたとえれば、こんな感じだろう。だが、米政界の事情通によれば、そう結論づけるのはまだ早い。

確かにトランプ大統領が当初の強硬路線から後退したのは、一度や二度ではない。通商政策においても、米国メディアによれば、国家経済会議で委員長を務めるゲーリー・コーン元ゴールドマン・サックス社長らの国際派が、新設の国家通商会議委員長に起用された対中強硬派ピーター・ナヴァロ教授らを中心とする排外主義者との戦いを制しつつあるという。

トランプ大統領はカナダとメキシコが大幅な見直しに応じなければ、米国は北米自由貿易協定(NAFTA)から撤退すると誓った。しかし、NAFTA撤退で最も打撃を受けるのは、域内で緊密なサプライチェーンを持つ米国企業だ。協定の抜本的な見直しは難しく、微修正にとどまると見られる。