私は海上自衛隊を42歳で退職してから自分の技量が落ちないよう、すぐにフィリピンのミンダナオ島に拠点を移した。

そして、そこの海で育ち、海とともに生きてきた22歳の女性を弟子にした。彼女の海における戦闘技術、知識を習得するためである。だから弟子というより師匠だったのかもしれない。

「おまえはこの先、どうやって生きていくんだ?」

「あなたはどうなのよ?」

「俺がおまえの年齢のときは……」

「違うわよ。昔じゃなくて、今よ」

ハッとした。ない。人に聞いておきながら、自分には人生設計も夢もないことに気づいた。

理由はよくわかっていた。創設してまもない特殊部隊で、隊員を集めて話をしたことがある。