ミサイル防衛の整備で「拒否的抑止力」を

海洋進出を強める中国、核兵器を保有しミサイル実験を繰り返す北朝鮮。東アジア情勢の緊迫感が増している。安全保障に精通した与野党の政治家に聞いた。

いしば・しげる●1957年生まれ。慶大法卒、86年衆議院議員に初当選、当選10回。2002〜04年に防衛庁長官、07〜08年に防衛相。(撮影:梅谷秀司)

──北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を続けています。日本にとって新たな脅威になりますか。

特にそうとは考えていない。「新しい局面」「新しい危機」という表現も一部で聞かれるが、日本全土が射程内にある「ノドン」は200発前後あり、すでに十数年前から配備されている。長距離弾道ミサイル「テポドン」も1998年には1回目の発射実験が行われている。ノドンの命中精度がかなり高いというのも以前からわかっている。

今回は4発同時に打ち上げられた映像の効果が大きいのだろう。ただし、以前と大きく変わった点として、液体燃料でなく固体燃料を使い、すぐに発射できるようになったことと、発射装置が運搬式になったことがある。運搬式になればどこから発射されるか予測しにくい。

──北朝鮮には核兵器があります。

断定はできないが、北朝鮮にとって核はあくまでも米国への対抗手段であり、日本に対して使用するメリットがない。もちろん保有自体許されざることだが、実際に使われたら(核の報復を受けて)終わりだ。日本に対しては工作員や特殊部隊を使ったほかの攻撃手段も十分考えられるため、日本に向けて核攻撃をするとは考えにくい。

──通常兵器による北朝鮮の軍事的脅威はどう考えますか。

安全保障は万が一の事態に備えるべきものであり、ミサイル防衛も国民保護も「拒否的抑止力」として機能する。相手は想像を絶する独裁体制の国であり、通常では予想もしないような展開もありうるため、政府としては想定を広げておくべきだ。

──いわゆる先制攻撃論は?