「艦長、風にあおられてます!」

「ぶつかります!」

「どうするんですかっ!」

私が配属されていた艦艇は、北海道の民間港へ補給のために入港しようとしていた。私は航海長だったがまだ27歳で、海と艦艇というものがようやくわかってきたような頃だった。そんな若造を育て鍛えるのは艦長の役目だが、なんと艦長は艦艇に乗った経験が私とほとんど変わらず、教育というものができなかった。艦長の代わりに私を鍛えてくれたのは、大先輩のベテラン幹部だった。

「艦長繰艦!」

と艦長は宣言した。操縦する権限を航海長から自分自身に移したのだ。いよいよ着岸で難しいときだったが、操縦から解放された私は、入港後の燃料や食糧の搭載量を確認しようとしていた。