4月に就任した山下良則社長は米国など海外経験が豊富。グローバルに改革を断行できるか(撮影:梅谷秀司)

「会社としての存在意義さえ疑問視される」

コピー機をはじめとした事務機器大手のリコーに対して、機関投資家や証券アナリストから出た言葉だ。4月に就任した山下良則新社長が、同社の課題について意見を募った際のことだった。

名門リコーが深刻な苦境に陥っている。2016年度は年間の業績予想を4回も下方修正。現在は売上高2兆円に対して営業利益300億円を見込む。利益率はわずか1.5%だ。

4月12日には、今後3年間の中期経営計画を発表した。強調したのは、「過去のマネジメントとの決別」だった。

決別すべきは、量を追う経営だ。複合機のデジタル化やカラー化の波に乗り、1990年代から08年のリーマンショックまでは「野武士のリコー」と呼ばれた営業力で事務機器を拡販。販売代理店の買収で世界中に営業網を広げ、成長を続けた(図表1)。

[図表1]
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営業網拡大が裏目に

だがリーマンショック後に企業が事務機器のコストを見直すと状況は一変。売上高は頭打ちとなり、営業網の拡大で増えた人件費がのしかかった。

結局、販売力への依存が強すぎた。販社の営業員がシェア拡大のために過度な値下げを行うなど、本社は営業現場を掌握しきれず、他社に比べ収益性が低下しがちだった。事務機器本体だけでなく、利益率の高いトナーなど消耗品でも単価下落が続く。