トランプ大統領は、米中首脳会談の最中にシリアの空軍基地へミサイル攻撃をしてみせた(The New York Times/アフロ)

4月6日から7日にかけて行われた米中首脳会談における中国の目的は明らかだった。米中協調関係の内外へのアピールである。習近平・中国国家主席が終始、笑顔を保とうと努力したのはこのためだ。

特に、中国国内の政敵たちから、外交の失敗を非難されることは許容できない。米国に対して、「弱腰」と見られるような態度こそとれないが、米中協調の雰囲気を醸し出せれば、中国が譲歩せずに米中協力を勝ち取ったと主張できる。

トランプ米大統領にも協調的な姿勢を示してもらうために、中国は水面下での譲歩を迫られたはずだ。努力したにもかかわらず、折に触れ見せてしまった習近平主席の険しい表情は象徴的である。

中国は、米国製品の輸入拡大をもって貿易不均衡是正の意図を示し、米中首脳会談を乗り切るつもりだったと報じられている。しかし米国は、為替を操作したかどうかにかかわらず、為替の不均衡という根本的な問題における譲歩を迫った。

さらに中国にとって厄介なのは、北朝鮮問題がクローズアップされてきたことだ。北朝鮮が、核弾頭とその運搬手段である大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発を進めているからである。

本来トランプ大統領の関心は、中国との貿易不均衡の是正にあった。しかし、繰り返される北朝鮮の核実験やミサイル発射という挑発行為は、トランプ大統領の頭の中にある問題の優先順位を変えることになった。

会談中にシリアへ攻撃

米国は、北朝鮮が米国本土を射程に収める核兵器を保有することを許さない。そして、その脅威をトランプ大統領に認識させ、中国との経済問題の取引にも利用できることを進言した人物がいたのだろう。

結果としてトランプ大統領は、北朝鮮の核兵器と弾道ミサイル開発が米国の安全を脅かすものであるととらえた。さらに、中国との取引にも利用できると考え、米中首脳会談前から北朝鮮問題を議論すると宣言して、中国に強い圧力をかけた。

トランプ大統領が「われわれは偉大な関係を築いていく」と述べるなど、表面的には友好ムードを演出し、中国との協調姿勢を示したのは、ただ中国にいい顔を見せようとしたためではない。米国は非公式の議論において、中国から必要な譲歩を引き出せるという手応えを感じたからこそ、習近平主席の希望どおりに演じたのだと考えられる。

報道によれば、米中首脳会談は難題を先送りし、対北朝鮮圧力で平行線をたどったという。しかしトランプ大統領が受け入れた習近平主席との対話は、あくまで水面下のものだ。

オバマ前大統領を相手にしていた際の中国は、表面上は対北朝鮮圧力で協力する姿勢を見せながら、実際には決定的な制裁を行わずに済んだ。オバマ前大統領が軍事力を行使しないと見切っていたからである。