『不平等を考える』を書いた齋藤純一氏に聞く 不利を再生産させない制度を

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格差の拡大が社会に深刻な分断をもたらしている。「平等な関係」を構築するため、いかに制度を構想すべきか。

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“値しない”有利ー不利を再生産させない制度を

──なぜ「平等な関係」を築かないといけないのですか。

人々にさまざまな点で違いがあることは事実であり、能力や才能の点で互いに等しくはない。問題は、そうした違いが社会の制度や慣行の下で互いの関係における「値しない」有利ー不利の違いへと変換されていく点にある。値しないとは、その人に「ふさわしくない」、もっといえば「不当である」という意味合いを含んでいる。機会の平等への道が閉ざされ、将来の見込みのストーリーが成り立たなくなる。

──有利ー不利の違い?

有利ー不利の違いは人々の関係のあり方を決める。不利な立場にある人は、より有利な立場にある人の意に沿うことを強いられやすく、また、劣った者として扱われ続ければ屈辱の感情を抱かずにはいられない。不平等が過度のものとなり、固定化すれば、何とか不利を挽回しようとする意欲すら持てなくなる。

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