テスラのマスクCEOは2016年3月、さらなる成長の試金石となる「モデル3」を発表した(ロイター/アフロ)

“Fool cell(ばかげた電池)”──。

fuel cell(燃料電池)をもじった挑発的な言葉を口にするのは、EV(電気自動車)ベンチャー・米テスラの創業者兼CEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏だ。言うまでもなく、燃料電池車はトヨタ自動車が究極のエコカーと位置づけている。両社はかつて握手を交わした仲だった。

「世界が持続可能なエネルギー社会に向かう変化をわれわれが加速させる」。壮大な野望を掲げてマスク氏がEVベンチャーを立ち上げたのは2003年のこと。同氏は最初に創業した決済会社ペイパルの株売却で得た自己資金と、知名度を生かした外部からの資金調達で、連続起業家として自動車業界に打って出た。

08年には第一弾として、超高級スポーツカー「ロードスター」(約1300万円)を発売した。これで高級EVというニッチな市場を開拓し、12年には超高級セダン「モデルS」(約800万円)を発売。モデルSの量産化に踏み切るに当たりテスラは稼働を休止していたトヨタとGMの合弁工場を10年に取得し、同年にトヨタから5000万ドルの出資を受け、EVの共同開発で提携している。