4月3日にロシアで発生した自爆テロ。首謀者はキルギス系ロシア人の男性だが、1カ月ほどで自爆テロの決意を固めたとされる(SPUTNIK/時事通信フォト)

4月に入ってイスラエルからの来客が続いた。元「モサド」(諜報特務庁)や、「アマン」(軍情報部)の幹部やシンクタンクの長たちだ。この人たちとの意見交換は極めて有益であるとともに、日本のマスメディアを通じては伝わらない事態の深刻さについて警鐘を鳴らすものであった。こういう話を筆者1人で握っているのはよくない。『週刊東洋経済』の読者と、普段は表に出てくることのないインテリジェンスの深層に踏み込んでいきたい。

筆者が会った人のうち、表に名前を出すことができるのは、テルアビブのヘルツェリアにある反テロセンター(ICT:The Institute for Counter Terrorism )の所長を務めるボアズ・ガノル(Boaz Ganor)教授だけだ。筆者がガノル教授と初めて会ったのは、2013年5月、テルアビブにおいてだったが、同教授の存在については外務省の主任分析官を務めていたときから知っていた。

01年9月11日に米国で同時多発テロが発生したが、その年の5月にイスラエルのインテリジェンス関係者から、ガノル教授が監修した論文集を渡された。そこでは、さまざまな自爆テロの事例研究がなされるとともに、テロに対する理論的解明が試みられていた。また、ガノル教授は、この年の3月に行われた講演で、民間航空機の利用などを含む新たな形の自爆テロが米国もしくはその同盟国で起きると予測した。それだから、米国同時多発テロ以後は、この事件を予測した専門家として、世界中のインテリジェンスの専門家が注目し始めた。