おち・ひとし●1952年生まれ。77年、三菱化成工業入社。三菱化学経営企画室長などを経て、2012年三菱レイヨン社長。15年4月から三菱ケミカルHD社長。17年4月から三菱ケミカル社長も兼任。(撮影:今 祥雄)

──あらためて、化学系3社の合併に踏み切った意図を聞かせてほしい。

持ち株会社が主導して、(三菱化学の)伝統的な石油化学部門を中心に構造改革を進めてきた。全体の足を引っ張るような事業はなくなり、ようやく業績も安定してきた。しかし、次に成長と高収益性を目指そうとしたときに、従来の体制では限界がある。3社統合で経営資源を結集し、総合力を発揮する。

3社の材料・加工技術を融合

──具体的にはどういった変化を期待しているのか。

一番は技術の融合だ。これまでも3社が協力し合って新たな技術や商品を開発するよう号令をかけてきたが、「会社が違うので機密情報は出せない」、「権利や利益はどちらが取るのか」といった問題が出てきて、なかなか前に進まなかった。スピードが求められる今の時代、そんなことでは競争に勝てない。

新会社では各社が培ってきた材料や加工の技術を融合させ、パフォーマンスに優れた素材・材料を、スピード感を持って市場に出していく。研究開発も3社間の重複が解消され、効率性が上がる。また、バラバラだった販売チャネルがまとまることで、先々の商売につながる有益な情報も集まりやすくなる。

──新会社はどんな化学メーカーを目指すのか。

多様な高機能商品を数多く有する会社だ。欧米の巨大化学企業も高機能化学品を手掛けるが、塗料用途などボリュームの大きなものが中心。われわれの高機能素材・材料は、顧客ごとの要望に合わせて仕様を作り込んでいる。ある意味ニッチ商品の集合体だが、だからこそ付加価値があるわけで、そこが私たちの生きていく世界なのだと思う。

1つのお手本になる企業が米国の3M(スリーエム)。材料やプロセスなど46の基盤技術を最大限に活用し、幅広い分野を対象に5万種類以上もの製品を展開している。われわれも統合会社に集めた技術をうまく組み合わせながら、独自のニッチなソリューションを効率よく生み出していきたい。そのための3社合併だ。