長生き時代に長く生きた人がトクをする年金保険が相次いで発売された(撮影:尾形文繁)

マイナス金利時代の申し子といえるかもしれない。イタリアの銀行家が17世紀に考案した「トンチン保険」という仕組みを用いるユニークな年金保険商品が相次いで発売されているのだ。

業界最大手の日本生命保険が昨年4月、長寿生存保険「グランエイジ」を発売したのに続き、第一生命保険は今年3月、個人年金保険の新商品「ながいき物語」を取り扱い始めた。かんぽ生命保険も、年金支払期間を最大30年とした同種の「長寿支援保険」を10月に投入する。

トンチン保険とは年金の原資を生存者のみに分配する仕組みで、長生きするほど得をする。3社の商品はいずれも、年金受け取り開始前に死亡したときの保険金や解約したときの返還金を低く抑えることで年金額を大きくするという形でトンチン性を採用した。

第一生命の場合、死亡返還金を払込保険料相当額の7割程度に抑えることで、年金原資を確保している。

仮に50歳の男性が65歳まで15年間、毎月5万円の保険料を支払い、75歳から年金を受け取るとする。払込保険料総額900万円に対し、最低10年間分の年金が保証される終身年金なら、100歳まで生きた場合は受け取り額は総額で約1500万円(返還率174%)。長生きするほど年金額が大きくなる。年間約102万円を10年間受け取る確定年金なら約1024万円(同113.8%)の年金を受け取れる。

同社商品事業部の守谷努部長は「低金利環境の下で予定利率の上昇が見込めないため、途中で死亡した人や解約した人の分の保険料を残った人に回すトンチンの機能を活用した。銀行にはまねのできない、保険会社ならではの商品だ」とアピールする。

マイナス金利に対抗

1年余りかかった商品開発を「後押しした」(守谷部長)のが、2016年1月に日本銀行が導入を決めたマイナス金利政策だった。