[記事のポイント]

(1)老舗かまぼこメーカー鈴廣の副社長で小田原箱根商工会議所会頭を務める鈴木悌介氏が、脱原発と代替自然エネルギーの開発を訴えている

(2)日本商工会議所は原発推進の立場で、波風が立たないはずはないのだが、鈴木氏のもとには立場を超えて意見を交わしに人が集まる

(3)東日本大震災に伴う停電で鈴廣の売り上げが8割落ち、電力供給の脆弱さを思い知った。地産池消の発電会社の設立に奔走する

 

鈴木悌介(すずき・ていすけ、61)には、三つの「顔」がある。

鈴廣かまぼこグループ副社長、小田原箱根商工会議所会頭、そして、自然エネルギーの創エネ・省エネ事業に取り組む「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」(エネ経会議)の代表理事の顔である。慶応元年(1865年)創業の老舗かまぼこメーカーの経営者が地元の商工会議所会頭を務めるのはそう珍しくはないだろう。

本社に掲げられている、かつて使われていた看板。慶応年間創業のプライドが感じられる(撮影:大澤 誠)

しかし「脱原発こそ経済的だ」と訴え、エネルギーの「地産地消」と代替エネルギーの開発に突き進むとなれば話は変わる。商工会議所の上部団体である日本商工会議所は、会頭が新日鉄住金名誉会長、専務理事は元資源エネルギー庁長官というバリバリの原発推進団体だ。波風が立たないはずがない。

ところが、鈴木は対立する者のこわばった心を和らげる、不思議な発光体を内に秘めている。接した相手は立場を超えて意見を交わしたくなるのだ。