
今年2月に米グーグルが行った「アップデート」が、ネット業界を騒然とさせている。それまで上位を占めていたキュレーションサイトの検索順位が軒並み低下したのだ。
キュレーションサイトとは、インターネット上の情報をテーマごとにまとめ、記事形式で配信するメディア。「キュレーター」と呼ばれるライターを多数起用し、文章量の多い記事を大量に配信することで読者を集め、広告収益を上げるのが特徴だ。
だが、昨年夏から冬にかけ、画像や文章の盗用や、信憑性の低い医療情報が掲載されているなど、驚愕の実態が次々と明らかになった。
やり玉に挙げられたのはディー・エヌ・エー(DeNA)だ。2014年にインテリア情報サイト「iemo」を運営するiemoとファッション情報サイト「MERY」を運営するペロリの2社を買収し参入。成長の柱として事業を急拡大させてきた。
だが、同社が運営する医療情報サイト「WELQ」に薬事法に抵触する疑いのある記事が掲載されていたことがネット上で“炎上”。DeNAが運営する10サイトは昨年12月、閉鎖に追い込まれた。

同社は謝罪会見を開き、守安功CEOの減給を筆頭に関係者を処分。3月には第三者委員会が調査報告書を発表した。ペロリの中川綾太郎氏とiemoの村田マリ氏はそれぞれ代表を辞任している。
ただ、これは決してDeNAに限った問題ではない。運営形態に差異はあれども、同様のサイトには多くの企業が手を出している。大手でも、リクルートホールディングスは「ギャザリー」、サイバーエージェントも「Spotlight」というサイトを運営している。ともに問題の広がりを受け、著作権や内容の信憑性に問題がある記事の非公開化や、運営体制の変更などの対応を強いられた。
背景にはSEO
そもそも、キュレーションサイトはなぜ急速に台頭したのか。デジタルコンサルティング会社・プリンシプルの中村研太常務取締役は「SEOにおけるトレンド変化が背景にある」と語る。