【今週の眼】苅谷剛彦 英オックスフォード大学教授
かりや・たけひこ●1955年生まれ。米ノースウェスタン大学大学院博士課程修了、博士(社会学)。東京大学大学院教育学研究科助教授、同教授を経て2008年から現職。著書に『階層化日本と教育危機』『増補 教育の世紀:大衆教育社会の源流』『教育と平等』など。(撮影:尾形文繁)

昨年行われた国民投票の結果を受け、英国のメイ首相は3月29日、欧州理事会議長に対し、EU離脱を申し入れる書簡を正式に提出した。2年後の2019年3月末に英国がEUを離脱する、そのための交渉が正式にスタートする。

EU離脱をめぐり、この間さまざまな議論が行われてきた。中でも、英ファイナンシャル・タイムズ紙に最近掲載されたデービッド・グッドハート氏の「どのように私はロンドン部族を離れたか」と題するエッセーが私の目を引いた。

それを紹介するのがここでの目的ではないが、概略を示すと、エリートとしてリベラルな思想の下に育ってきた自分の生い立ち、そして左派的な価値を共有してきた仲間(「ロンドン部族」と呼ぶ)から、いかにして離別することになったかという話である。そこで彼が使う分析枠組みに興味を持ったのである。