ヨーロッパの2大国であるドイツとフランス。さまざまな面でライバル同士として語られる両国は、鉄道技術においてもつねにヨーロッパをリードする存在だ。高速鉄道網の拡大や、鉄道インフラを市場へ開放し、官民問わず新規参入を認めるオープンアクセス法の施行による同業他社への対応など、変化を続ける両国の鉄道の現状を紹介する。

最高時速300km以上で走るドイツ鉄道の高速列車ICE3

点在する都市を結ぶドイツの高速列車網

35.7万平方kmの国土に、約8220万人の人口を擁するドイツ。GDPではヨーロッパ第1位を誇る経済大国で、EUにおける中心的存在だ。

ドイツは人口1000万人級の大都市がない代わりに、人口数十万規模の都市が多数点在しているのが特徴だ。たとえば人口6603万人のフランスは、首都パリ都市圏の人口1216万人を筆頭に人口100万人を超える都市は7つある。ところがドイツは、首都ベルリンの337万人を筆頭に人口100万人を超える都市は4つしかない。それでいて人口はフランスより多い。いかに人口が国土全体に満遍なく広がっているかがわかる。

この国土の構造が、都市間に特急ネットワークが広がるドイツ鉄道の基礎を築き上げたと言ってもよいだろう。一極集中のフランスとは、まさに対照的だ。

ドイツの鉄道の歴史は、1835年にニュルンベルクの近郊で約6kmの路線が開業したのが始まりだ。第2次大戦後の東西分断で、鉄道も東西各国鉄に分割されたものの、1989年のベルリンの壁崩壊、翌年のドイツ再統一と時代が移り変わる中、両国鉄も94年に統合され、国が全株式を保有するドイツ鉄道(DBAG)が設立された。2013年時点で3万3295kmの路線網を有し、1万9806kmが電化されている。

そのドイツ鉄道で長距離輸送の主力となっているのは、91年に運行を開始した高速列車ICEだ。年を経るごとに運行路線を拡大し、現在は主要都市の大半をカバーするネットワークへと成長した。車両は、運行開始時に製造されたICE1と、それほど需要の多くない路線用に編成を短縮し、設備も簡素化したICE2、最高速度を時速300km以上とし、周辺各国への乗り入れも考慮した「ICEの決定版」といえるICE3、そしてICE1・2の置き替え用として登場した次世代型車両ICE4の4車種からなる。

ICEネットワークの拡大に伴い、在来線の特急に相当するインターシティ(IC)は今や完全にICEを補完する役割の列車となっており、ICE路線網から外れた地方路線や、ICEが通過する駅などの需要を担っている。地方都市間の列車に関しては、近郊区間用で実績のある2階建て車両をベースにした新型車IC2を投入しているが、編成は短い5両編成で、食堂車は設置されず車内販売設備のみ、最高速度も時速160kmに抑えられている。

地方都市間を結ぶICには、2階建てのIC2形車両を投入

同業他社相手には健闘、強力なライバルはバス