JR中央線・国立駅北口前の閑静な住宅街に鉄道総合技術研究所(鉄道総研)の敷地が広がる。国鉄の鉄道技術研究所などの業務を継承する法人として、他のJRよりも一足早い1986年12月10日に設立。山梨リニア実験線の走行試験から自然災害の予防保全シミュレーションまでさまざまな研究開発を行う。日本が世界に誇る「鉄道の技術力」の多くがここから生まれた。

鉄道総合技術研究所(鉄道総研)理事長 熊谷則道
くまがい・のりみち●1950年東京都生まれ。東北大学大学院工学研究科修了、76年国鉄入社。87年鉄道総研に入所。技術開発事業本部高速化プロジェクト主幹、JR部長などを経て、2013年より現職。(撮影:尾形文繁)

──30年間で研究テーマの移り変わりはありましたか。

大きく三つのフェーズに分けて説明します。第1のフェーズはJR発足後。新幹線を速度向上させ利便性を高めようという方向に変わってきた。そのための技術開発には鉄道総研も大きな役割を果たしてきました。特に騒音対策です。列車が走行中に発する空力音、そして列車がトンネルに高速で入るときに微気圧波という大きな音が出る。これらを低く抑えるため、滋賀県米原市に大型低騒音風洞という実験施設を造り、コンピュータシミュレーションも行い精力的に取り組んできました。今の時速320kmのスピードの裏にはこうした技術開発があるのです。

JR国立駅北口から徒歩数分の距離に広がる鉄道総研の敷地。左側に試験用線路も見える

──国鉄時代は速度向上のニーズはなかったのですか。

もちろん速度を向上させたいという思いはありましたよ。でも国鉄の経営がうまくいっていない状況では、技術開発に踏み出せなかった。民営化で一気に花開きました。

──リニアについてはどのような研究をしているのですか。

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