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監督体制一本化で金融リスク潰せるか 縦割り組織の弊害で遅れる対応

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米国の利上げをにらみ、「穏健中立」という表現で金融政策の引き締めを続ける中国当局。だが、縦割り型の金融監督体制の改革など課題は山積みだ。

無名の投資会社だった宝能は資金調達目的で高リターンの保険商品を売り、万科株を買い集めていた(Imaginechina/時事通信フォト)

3月15日、2017年度の全国人民代表大会(全人代)が閉幕した。注目が集まる金融政策のスタンスについて、中国人民銀行の周小川総裁は「穏健中立」という表現を用い、従来の「穏健」よりやや引き締めぎみに推移させるという姿勢を明らかにした。

それを裏付けるように、3月16日、中国人民銀行は公開市場操作および中期貸出ファシリティ(MLF。人民銀行が健全性の高い金融機関に資金を貸し出す金融政策ツール)の金利をそれぞれ0.1%引き上げると公表した。ただ、その上げ幅はわずかで、企業の設備投資など実体経済に与える影響もそれほど大きくない。むしろ、金融機関の資金調達コストを引き上げて、不動産バブルの再燃などを予防するための措置だと考えたほうがいいだろう。

このような中国の金融引き締めの姿勢に、米国の金融政策が影響を与えていることは間違いない。3月15日に行われた米国連邦公開市場委員会(FOMC)で、米国連邦準備制度理事会(FRB)は、3カ月ぶりに0.25%の利上げを決定した。また、FRBのイエレン議長はあと2回の利上げを行うというシナリオを同時に示し、今後も穏やかな利上げを続けていく可能性が高まった。

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